スイス人アーティストのManon Wertenbroekは、1991年ローザンヌ出身で、ローザンヌ美術デザイン大学(ECAL)で写真学の学位を取得しました。現在はパリに拠点を置き、作品では感情の発言やそれに伴う身体反応を人間の交流というコンテキストの範囲で追求しています。高度にパーソナルな審美的ならびに内省的なアプローチを用いて抽象的および具象的側面を一体化させ、描く人々の心理と感情の解釈を時に明示的に、時に暗示的に表現しています。彼女が描く個人の肖像画、社会のシーンは、両方において特定の細部が強調され、重要性を際立たせて個人とグループのアイデンティティに語りかけます。背景には明るい色合いを用いて積み重なるような雰囲気と内側から湧き起こる感情を表現しています。
アプローチとしては単一の技術で、PVCミラーパネルのエングレーブをカラーペーパーや絵画、コンピューター画面の前面に置くという手法を用いています。そして出来上がったインスタレーションを写真に撮り、最終イメージを印刷して完成させます。そこから生まれた結果が、新しい題材やテクスチャ、写真と絵画の間の粗い表面を形式的に追求する作品です。鏡の反射が作品に映り込むこともよくありますが、ずれた表面が重要なメタフォリック的役割を担っています。鏡は内省と「オートフィクション」のためのスペースへと変わり、アイデンティティに対する問いを幅広いスペクトラムで捉えることを可能にします。
2015年、彼女の作品はアムステルダムのFoam Museum、ジュネーブのthe Center for Contemporary Artで、また翌年にはローマのSwiss Instituteで展示されました。2017年には、スイス・ウィンタートゥールのCoalmineで開催した初めての個展で、一連の写真作品を展示しました。同年、作品をバーゼルのスイスアワードに出品し、Federal Office of Cultureより賞を受賞しました。2018年は、ミラノのSwiss Instituteで、一連の新しいPVCミラーパネルを展示の一部としてプレゼンテーションしました。このシリーズでは、作品の中で観覧者は鏡に映る自分の姿にコントロールされ、俳優になります。その姿は、反射や絵画、エングレーブ、切り取られた表面などによってデフォルメされて映るのです。
現在、WertenbroekはローザンヌのElysée Museum、ジュネーブ大学のSwiss Centre for Affective Sciencesとのコラボレーションを行っています。最終成果はビデオに納められ、2018年6月にElysée Museumで上映される予定です。